前編)トイレットペーパーを神殿の柱のように飾るグッズ

 

一人暮らしでトイレに棚がないので、トイレットペーパーをタテに積んでいました。それが『柱』に見えたので、ギリシャ神殿の柱風の飾りを作成してみました。
上下は同じものです。baseのショップminneにて販売中。

以下は開発ストーリーです。(思い入れが強くて長くなったので前後編に分けました)

最初の試作品は、2019年秋のArt-Palの展示会に出展する作品として制作。まず形状を決めて、スタイロフォーム(密度の高い発泡スチロールのようなもの)で形状を製作。(下の写真。生活感がありすぎてスミマセン・・・)

このままでは作品にならないので、表面に何かを塗りたい。どうするか考えていたところ、どこかで見た「張り子」を思い出し、「トイレットペーパーだし、紙を貼ったらいいかなー」ぐらいの気持ちでいろいろ調べました。

すると、『張子紙』なる専用のものがあるらしいとわかりました。高いのと安いのとある。どう違うんだ?と思ってさらに調べると、日本橋に江戸時代から続く和紙の専門店があって、そこに実物があるっぽい。さっそくその「小津和紙」に行ってみました。

その店は3Fがちょっとした博物館になっていてテンションが上がる店ですが、店員さんに話を聞き、張子紙を入手。ネットでも調べつつ、さっそく作成。これ、表面がめちゃくちゃ面白い。

以前の作品で「見ざる着飾る岩猿」ってのを作りましたが、これなら岩を表現できそう。ただ、今回はそれではないので、その上にジェッソを塗って仕上げ。

おおっ、見事に石こうなどの白い石製に見える。というわけで、まずはこれで2019年にArt-Pal、その直後のデザインフェスタに出展。デザインフェスタでは数点作成して販売しました。

これを作るのに、週末2回ぐらいかかります。そうすると、注文が入っても作りたくない。見た人はとても喜んでくれたので、これは何とか量産したいなあと考えました。

プロダクトデザイナーの経験者なら共感する人も多いと思うのですが、自分で考えたものを量産するのって一つの夢なんですよね。デザイナーをやってるとクライアントが作りたいもの、より使いやすいものをデザインして量産する機会はあっても、自分で思いついて作りたいものを作る機会はほとんどない。先行開発の提案でモデルは作ることはあるかもしれませんが、それも形だけで終了します。

過去の作品でも何度か量産は挑戦したのですが、結局量産できず。今度こそ量産してみようと決心し、方法をいろいろと検討。一応、成型で抜けそうな形にはなってる。ただプラスチック成型の金型は高すぎるし、先日「スミファ(墨田区町工場ファクトリーツアー)」で見た塩ビは小ロットで作ってくれるって言ってたし、無理な形も抜けるらしいけど、、、

と、悩んでいたところ、以前にWebで見かけてチェックしていた『紙を溶かして成型する「ペーパーモウルド」』という技術をふと思い出しました。検索して探すと、愛知県に工場がある。さらに、そのホームページにはデザイナーの作品にも携わったことがある、とある。これなら小ロットでも受けてくれるかも、と思い、連絡。名古屋に出張に行く機会があったので、そのついでに作品を持って訪問してきました。

(長くなってきたので、2回に分けます。後編はこちら